スイスのベルンは、中世の町並みが現存することで有名な街です。中世の町並みはここ以外にもよくありますが、そのほとんどは、一度は戦争等で破壊されてから復興されたものです。つまり現存する中世の建物が残っているベルンは、大変珍しく、それ故に街全体が世界遺産にも登録されています。本当に、街を歩くだけでタイムスリップした感覚になります。
そして街をもう一つ有名にしているのは、ここにアルベルト・アインシュタインが住んでいたことです。彼はこの地で数々の論文を発表しました。今では、「アインシュタイン・ハウス」と「アインシュタイン・ミュージム」というのが観光地となっていて、私達はそれを楽しむことができます。
目次
~アインシュタインを追う~
アインシュタイン・ハウス
アインシュタイン・ハウスと聞くと、豪邸を想像するかもしれません。しかし、全くそうではなく、彼が有名になる前に住んでいたので、こじんまりとした家です。ショップが並んでいる通りにあるので、気を張って探していないと、一度通り過ぎることは間違いありません。
さて入ってみると、家の中には当時の家具がそのままの配置で展示されていたり、アインシュタインの生い立ちを説明するボードが壁にかかっていたり、アインシュタインの持ち物が並べられていたりします。そのおかげで、リアルに当時のアインシュタインを想像することができます。
特に印象的なのは、アインシュタインが数々の歴史に残る論文を書いた、この居間です。一番有名な特殊相対性理論もここで書いたとのこと。
人類の歴史を大きく変えたであろうその発見が、この小さな部屋の中で生まれたと思うと、その場所を目の前にして感慨深い心境になります。

上の階へと進むと、アインシュタインのドクターの証明書(写真左)や論文(写真右)等が展示されています。意味はさっぱり分かりませんが、天才であったということだけがよく伝わってきます(^-^;。


アインシュタイン・ミュージアム
街を囲む大きな川の外側に、ベルン歴史博物館があります。ここの中で一番面白いのは、アインシュタイン・ミュージアムです。ここでは、アインシュタインの物理学に対する貢献について、よりいっそう学ぶことができます。
入った瞬間からワクワクするデザインです。
鏡張りの不思議な空間の階段が続きます。デザインの背景は分かりませんが、もしかしたら、アインシュタインの頭の中がこんな感じだったのではないかと想像してしまいます。

展示の内容は、アインシュタインの功績についての物が多いですが、特に写真右のルーズベルトに宛てた手紙は、被爆国の日本人からしたら心に残るものでしょう。


手紙はナチスが核兵器を作っていることについて、その脅威をルーズベルトに伝えた内容です。この手紙をきっかけに、アメリカの核開発が進められたと言われています。つまり、考え方によっては、この手紙が日本の被爆のトリガーとも思えてしまうのです。なお、アインシュタイン自身は、核兵器の開発に深く携わっていないとのこと。彼は親日だったらしく、日本の話を聞いた時には心を痛めたそうです。
~現存する中世の町並み~
ベルンには中世を感じられる場所がたくさんあります。けれど、お勧めは街歩きでしょう。どこを切り取っても絵になるのは、さすがは街全体が世界遺産なだけあります。
当時からある時計台(写真左)は仕掛け時計になっています。毎時間、時間の数に応じて、人形達がクルクルと回り始めます。
街の中心に堂々とそびえるのは連邦議事堂(写真中)です。町並みに相応しい出で立ちであり、目の前の噴水では子供達が遊んでいたりします。市民に対する包容力が伝わってきます。
そして、街の外(上述の歴史博物館の辺り)からは、エメラルドグリーンの川が見渡せます。街を守るように取り巻いていて、中世にこの川が重要な防御を果たしていたことが伺えます。守護神というイメージがピッタリです。



~名物料理~

Le Mazot(ル・マゾ)という広場にあるレストランで、チーズフォンデュを頂きました。チーズフォンデュと言えばスイスでは外せない料理です。
このレストランでは、ハーブ入りやスパイス入りなど、一風変わったチーズフォンデュを食べることができます。そして、私はハーブチーズフォンデュを頼みました。
ハーブとチーズの相性は想像するだけで美味しそうですが、その想像を超えるくらいに美味しかったです!!チーズの濃厚さはさることながら、ハーブがそのチーズの重さを爽やかにまとめ上げているので、いくらでも食べられるチーズフォンデュに仕上がっているのです。
そして、広場の賑やかな空間で食べるので、ビールも進みます。
ベルンには1864年創業のGurten Bierというローカルビールがあります。クマのロゴで、お店にもスーパーにもたくさんあります。
キリッとした苦みのある味です。ラガービールというのでしょうか。チーズフォンデュの後に流し込むと、口がすっきりするので、非常に料理と合います。

中世なのに、物理学の最高峰を生んでいる街、ベルンでした。
END