ライン川にかかる橋を抜けると、そこは中世の世界。茶色い建物はラインに照らされ、輝いています。ライン川の宝石という名を欲しいままにするこの町は、「シュタイン・アム・ライン」です。
一通り歩いても20分くらいですむような小さな町なのですが、思わず立ち止まって写真を撮ってしまうようなシーンも多く、町というアトラクションとも言えるかもしれません。
目次
~橋を抜けると~
中世の建物の狭間の石畳には、テラス席が準備されています。この街の人々がやってくるのを待っています。早朝ということもあり、あまり人がいません。
見上げると、建物の壁にはぎっしりと、色とりどりの装飾画が描かれています。
良く見ると、ただの柄ではなく、それぞれの絵には何かしらの1シーンを切り抜いたようなストーリーが感じられます。
昔から言い伝えられている歴史などをモチーフにしているとのことです。
~もっと中世を知りたくて~
この町の昔の生活には不思議と興味が湧いてきます。というのも、外観を存分に楽しむほど、「中はどうなってるの?」という疑問が自ずと芽生えるからです。
そんな私のような方も、この町は大歓迎です。「リントヴルム博物館」があるからです。
町のサイズから想定する博物館はなんとなく迫力に欠けそう。。。
そんな疑いを良い意味で裏切ってくれる優秀な博物館です。
内部は昔の家の中の様子を細部まで精巧に再現された展示が続いています。本当の家を改装して作っているので、部屋から廊下から、全てがリアルです。当時の家の中を歩いている感覚になります。無機質な部屋に、当時の様子を陳列しているだけのよくある博物館とは全く違います。
牛を家の一階で飼っていたり、屋根裏で干し草を干したり、鉄を打つスペースがあったりと、当時の人の生き方を勉強することができます。二つの家が繋がっている形になっていて、全ての部屋を見ていると40分くらいはかかったでしょうか。
一家族の生活を再現したのか、あらゆる職業の方をまとめて展示していたのかは定かではないですが、いずれにしても、当時の家の中は、私生活と仕事が一緒になっていた様子です。そして、子供を含む家族全員で協力して回していたことが想像できます。
~宝石を見下ろしに~
この町を眼下に望むのは大変お勧めです。ライン川の宝石と呼ばれる意味が分かるからです。
「ホーエンクリンゲン城」から見下ろすことが可能です。町から歩くと40分程かかりますが、車でも行くことはできます。
城の展望台から見ると、町がちょこんと丸くなって座っている様子が伺えます。まさに川に落ちている石ころのような町です。そしてライン川がそれをキラキラと包んでいるので、宝石へと昇格して見えるのです。
~名物料理~
この町の名物料理は、もちろんライン川で獲れる魚です。
町で一番有名なレストラン、Rheinfels(ラインフェルス)でスープを頂きました。
川魚なので淡白な肉質なのですが、ふわっとしたその白身が、出汁の利いたスープを思い切り吸い込んでいました。川魚にありがちな臭さは全くなく、堂々とスープのメインの具と化していました。スープ自体も、バケットをお代わりして最後まで拭ってしまうほどに美味しかったです。
このレストランは味だけではありません。ライン川にせり出したテラスからは、町の入口の橋を見渡すことができます。このロケーションが料理を一層美味しく仕上げています。そして、その見晴らしに胡坐をかくことは無いようで、店内の装飾も細部まで素晴らしかったです。甲冑や白熊の剥製が見られるので、不要でも2階のトイレに向かうことをおすすめします。
素晴らしい中世のアトラクションでした。
END